
モンテッソーリ教育はわがままになる?こだわりとの違いや対処法を解説
「自由を大切にするモンテッソーリ教育を受けるとわがままになるのでは?」
「わがままな行動にモンテッソーリ教育ではどう対応するの?」
子どもが自発的に学ぶ力を大切にし、自由を重んじることで知られているモンテッソーリ教育。
モンテッソーリ教育を受けると、社会に適応できない子になるのではないかと心配になることもあると思います。
ですが、モンテッソーリ教育で、わがままに育つというのは実は誤解なのです。
この記事では、モンテッソーリ教育がわがままになると誤解されてしまう理由と、わがままへの具体的な対処法を紹介します。
子育てにおいて誰もが悩む「わがままへの対処法」。モンテッソーリ教育の思想をヒントにして、心穏やかに対処していきましょう。
目次
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育は、イタリアの医師マリア・モンテッソーリ博士によって始められた教育法です。
子どもには自ら成長・発達しようとする力(自己教育力)が備わっており、その力が発揮されるためには見合った環境が必要であると言われています。
子どもが自発的に学べるように整えられた環境を用意し、大人は直接教え込むのではなく、子どもを観察して適切な援助や環境を提供します。
子ども自身が主体的に活動を選択するため、自由な教育という印象を持っている人も多いでしょう。しかし、だからといってお子さんがわがままになってしまうことはありません。むしろ、自分の行動を尊重されることによって、相手に対する「思いやり」が生まれていきます。
モンテッソーリ教育を受けるとわがままになる?
自由を尊重するモンテッソーリ教育を受けると、好きなことだけをしてわがままになるのでは?と考えられてしまうことがあります。
実際にモンテッソーリ園に通わせたママたちはどのように感じているのか見てみましょう。
先輩ママたちが感じたモンテッソーリ教育のデメリットとは?
モンテッソーリ教育を経験した先輩ママからは以下のような意見が聞かれます。
先輩ママ
モンテッソーリ園では、お友達と一緒に活動する時間が少なく、自分の好きなことばかりやっていて協調性が育ちにくいように感じました。小学校に上がってからの集団活動は周りに合わせないといけないことに戸惑いを感じるかも・・・

一方で、このような声もあります。
先輩ママ
手先のお仕事(あそび)が多く、集中力がつくので、小学校に上がってからも学習に集中できてよかったです。時間の使い方も上手く、自分で考えて行動できる子に育ちました。

このように、モンテッソーリ教育にはメリットもデメリットも存在します。
モンテッソーリを意識した教育法を実施しても、知識や経験が不足しているとわがままに育ってしまうこともあるでしょう。しかし、適切な教育を実施すれば、モンテッソーリ教育がわがままを助長することはありません。
では、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?3つの注意点を解説します。
モンテッソーリ教育でわがままにならない3つの注意点
モンテッソーリ教育をする場合には、以下のようなことに注意が必要です。
- ・自由と放任を間違えないようにする
- ・発達段階に合うように環境を整える
- ・指導者が正しい知識や経験を得る
自由と放任を間違えないようにする
自由と放任を間違えると、わがままに育ってしまうことがあります。
モンテッソーリ教育では、制限がある中で自由に過ごさせます。何でも好きなようにやりたい放題やれるわけではありません。
また、モンテッソーリ教育は子どもが活動に集中し始めたら指導者は介入することなく、そっと見守ります。
手伝うことや褒めること、近くで眺めることでさえも、子どもが自分で考えて行動する力を邪魔するとされています。
ただし、放任するのではなく、気づかれないようにしながら子どもの観察を続け、助けを求めたり、褒めてもらいたいという気配を示している場合はすぐに対応してください。
ただ自由に行動させているだけでは、わがままに育ったり、周囲から放任していると勘違いされたりすることもあるでしょう。自由に行動してもらいながらも、子どもの反応はさりげなく、かつ注意深く観察し、放任しないように注意が必要です。
参考:高橋節子著「子どものための物理的環境とは何かーモンテッソーリ教育の場合ー」
発達段階に合うように環境を整える
わがままにならないためにも、子どもの発達段階に合うように環境を整えましょう。
モンテッソーリ教育では環境を整えることをとても大切にしています。
子どもの発達段階や興味に合っていない環境下では、自律的な活動(子ども自ら考えて行動する活動)が得られず活動に集中しづらくなるでしょう。
年齢に合わない道具を提供すると、使用方法を間違えて遊んだり、危険を伴う活動をしたり、他の子に迷惑をかける行動につながります。
たとえば、モンテッソーリ教育では、料理や洗濯、お掃除など実際の家事を積極的に遊びに取り入れています。とはいえ、1歳の子に包丁やアイロンを自由に使わせてはいけません。
発達段階をよく理解して、年齢に合った関わり方をしていきましょう。
指導者が正しい知識や経験を得る
指導者の知識や経験不足により、適切なモンテッソーリ教育が提供できないとわがままになってしまうことも考えられます。
モンテッソーリ教育では大人の関わり方が重要です。
指導するのではなく、寄り添い、よく観察して環境を整えてあげる必要があります。正しい知識と経験を持って関わらないと、わがままな育て方だと誤解されてしまうかもしれません。
モンテッソーリ教育を掲げている園でも、どの程度モンテッソーリ教育に力を入れているかや資格を持っている先生の数は異なります。モンテッソーリ園を検討する場合は、説明会や見学に行き、実際に確認してみてください。
また、最近では自宅でモンテッソーリの思想を取り入れた教育をする「おうちモンテッソーリ」という言葉もよく耳にします。自宅で取り入れる場合は、保護者もモンテッソーリ教育の正しい知識を学び、モンテッソーリ教育の効果を最大限に引き出せるようにしましょう。
子どものわがままはどこまで許す?こだわりとわがままの違いは?
「こだわり」と「わがまま」は、どちらも自分の意志を表現する行動ですが、本質的な違いがあります。
「こだわり」は、その子にとって重要な価値観や基準に基づく行動です。一貫性があり、「感触がチクチクして苦手」「締め付けられる感覚がある」「いつも通りの行動が安心できる」などといった理由が存在します。
たとえば、以下のような状況があります。
- ・同じ服しか着たがらない
- ・絵本を何度も同じページから読み始める
- ・毎朝同じ道で登園したがる
嫌がる理由が感触や音、光の強さなど感覚的に苦しさを感じている場合は、「こだわり」として要望を受け入れて、適切に対処してあげることが必要です。こだわりは、子どもなりの秩序や安心感を求める行動でもあり、成長とともに変化していきます。
一方、「わがまま」は一時的な欲求に基づくことが多く、場面や気分によって変わりやすい特徴があります。
- ・お菓子を買ってもらうまで泣き続ける
- ・片付けを嫌がって親にやらせようとする
わがままには、一貫したルールで対応することが大切です。甘やかすのではなく、気持ちを受け止め、感情のコントロールの仕方を教えてあげましょう。
【モンテッソーリ流】子どものわがままへの対応法
子どもが「これやりたい」「やってほしい」と言ってきたときに、モンテッソーリ教育では以下のような対応をしています。
- ・まずは気持ちを受け止めて寄り添う
- ・見通しを持てるようにする
- ・適切な選択肢を管理する
- ・環境を整える
- ・そっと手伝いながら関わる
- ・満足するまでやらせる
- ・甘やかさず一貫した対応をする
「まだ遊びたい」「おもちゃを買って欲しい」など、わがままを言っているときの子どもの体調や気持ちによっても、対応方法や効果は変わります。体調が悪いときや疲れているときなどは、すべて受け入れて甘えさえてあげる日があっても問題ありません。
自分や子どもに合った方法で、取り入れられるものがあれば参考にしてくださいね。
まずは気持ちを受け止めて寄り添う
わがままを言っているときは、子どもの気持ちを受け止めて、寄り添うようにしましょう。
「この服が着たかったんだね」「もっと外で遊びたかったんだね」など、子どもが思っていることを代弁してあげることが大切です。
とくに1歳半~2歳くらいのいわゆる「イヤイヤ期」の子どもは、自分の気持ちを言語化することが難しいため、「今はやりたくないって言えばいいんだよ」などと伝え方を教えてあげましょう。受け止めてもらえた、ということが安心感を与え、子どもの気持ちが落ち着きます。
見通しを持てるようにする
わがままな行動を起こす前に、事前に見通しを持てるようやるべきことを伝えておくと良いでしょう。
たとえば、自宅に帰ったら手を洗わずに遊び始めてしまうという悩み。玄関を開ける前に、「家に入ったら、まずは手を洗おうね」と優しく声をかけておきます。
大人でも、すぐにやりたいことが目の前に現れているときに、別のことを提案されると嫌な気持ちになりませんか?スケジュールを事前に聞いておくと、取り組みやすい点は大人も子どもも一緒です。
適切な選択肢を管理する
「あれがよかった」「これがいい」など、自分のやりたいことが思い通りにならなくてわがままを言うときは、あらかじめ選択肢を管理しておくことをおすすめします。
たとえば、寒い冬の日に、「お気に入りの半ズボンを履きたい!」と泣いてしまうことがあります。
自分で選択する意思を尊重するためにも、気候やTPOに合った衣類を先に数枚選んでおけば大丈夫です。どれを選んでも良い環境を作った上で、自分で選ぶ体験をさせてあげると良いでしょう。
環境を整える
環境を整えると、気が散ることなくスムーズにやるべきことを実施できます。
おもちゃが散らかった室内やテレビがついている部屋では、食事に集中できません。おもちゃやテレビが気になって遊びたくなり、しまいには泣き出してしまうといったことが起こります。
モンテッソーリ教育では子どもが自らおもちゃを選び、片づけられるように整頓した室内にすることをおすすめしています。
動作の途中で、わがままを言いだしてしまう場合には、集中できる環境かどうか見渡してみましょう。
そっと手伝いながら関わる
こどもが甘えてわがままを言っているときは、そっと手伝いながら関わってあげましょう。すべてを代わってやってあげるのではなく、「お手伝い」という方法で気持ちに寄り添います。
たとえば、「ママが食べさせて!」と自分で食べようとしない時は、まずは一口だけおかずを運んであげたり、「ごはんとお味噌汁、どっちにする?」と聞いたりして、子どもが主体的に行動できるようにサポートしてあげてください。
甘えを受け止めてくれたという安心感で、次からは自分で取り組もうという気持ちに切り替えられるかもしれません。
満足するまでやらせる
モンテッソーリ教育では、活動の時間に制限は作らず、子ども自身のペースで過ごすようにしています。
「まだやりたい」「もっと遊びたい」と言う子どもには満足するまでやらせてあげると良いでしょう。集中して活動しているときは、その能力を存分に育てるチャンスです。
スケジュール的に無理な場合は仕方がありませんが、対応できる範囲は好きなだけやらせてあげると子どもの心が満たされるでしょう。
甘やかさず一貫した対応をする
子どものわがままに対して、おとなが一貫した対応をとるように気を付けましょう。
涙を流して泣き叫んでいる子どもを前にすると、当初決めていた約束を変えて許してしまいたくなるかもしれません。
しかし、「お菓子はあと1個だよ」「今日はおもちゃは買わないよ」とあらかじめ約束していたのであれば、その約束を変更しないようにしてください。
約束は守るべきものだと伝えることが大切です。
怒鳴って怒るのではなく、落ち着いた声で「今日は買わないと約束したものね、また今度にしようね」と伝え、冷静に対応するようにしましょう。
おうちでのモンテッソーリ教育はCha Cha Chaのおもちゃを使おう
モンテッソーリ教育では、発達段階に合ったおもちゃを、自由に子どもが遊べる空間づくりを大切にしています。
今の発達段階にはどのようなおもちゃが合うのだろう?とお悩みの方は、おもちゃ選びのプロに相談すると良いでしょう。
おもちゃのサブスクCha Cha Chaでは、知育の専門スタッフが成長に合わせたおもちゃをプランニングし、定期的にお届けします。遊び終わったら返却するため、家におもちゃが溜まることがなく、収納場所にも困りません。
申し込み時のヒアリングにて「モンテッソーリ教育に興味がある」とお伝えいただければ、モンテッソーリの教具の代用となる最適なおもちゃをご提案します。
どのようなおもちゃがあるのか、まずはCha Cha Chaのおもちゃ一覧をご覧ください。
まとめ
モンテッソーリ教育を正しく実践すれば、わがままになることはありません。
わがままを言っている時は、子どもの意思を尊重し、可能であれば満足するまでやらせたり、気持ちを受けとめて寄り添ったりすることが大切です。
見通しを持てるようにあらかじめ伝えることや、選択肢の管理、環境の整備も有効です。
子どもは、興味関心に合った遊びを思う存分に楽しむことで、自らどんどん学び、成長していきます。ご家庭でモンテッソーリ教育を実施したい場合は、おもちゃのサブスクCha Cha Chaで子どもに合ったおもちゃを探してみてください。

すみこ
作業療法士として13年間勤務、現在は医療・教育・育児関連記事を中心にWebライターとして活動中。3児の母(小学生2人&幼稚園児1人)。
作業療法士としての専門知識、母としての育児経験を活かして、具体的でわかりやすい文章を心がけています。
読んでくださる方が前向きな気持ちになれるようなお手伝いができれば幸いです。
主な運営サイト:sumiko-kurashi.com
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