指差しはいつから始まる?月齢別の発達過程と促し方【作業療法士が解説】
「赤ちゃんがなかなか指差しをしないけれど、大丈夫かな?」
「指差しはいつから始まるのが普通なの?」
そのように不安や焦りを感じているママ・パパは少なくありません。指差しは単なる動作ではなく、コミュニケーション能力や認知機能の発達を示す重要なサインです。
この記事では、作業療法士(OT)の視点から指差しの発達過程や月齢別の特徴、そして家庭でできる促し方まで詳しく解説します。
目次
指差しとは?発達における重要性

指差しとは、人差し指を伸ばして対象となる物や方向を示す動作のことです。大人にとっては何気ない行動ですが、赤ちゃんの発達においては重要な意味があります。
指差しは、赤ちゃんが初めてできるようになる「言葉を使わない会話(非言語コミュニケーション)」であり、発達心理学やリハビリの現場では、言葉の発達を確認する上で重要な指標として扱われます。
また、ある研究では、指差しが豊富な子どもほど語彙の獲得が早い傾向があることが示されています。
指差しを通じて、赤ちゃんは他者と注意を共有する力を獲得していくのです。
これは「共同注視」と呼ばれ、人間関係を築く上で欠かせない基盤となります。
親子で同じものを見て共感する経験を通して、社会性の発達を促していきましょう。
参考:なぜ幼児の指さしは後の言語コミュニケーションと 関連しているのか? 岸本健 Japanese Psychological Review 2011
指差しはいつから始まる?平均的な時期は?

指差しの開始時期に関しては個人差がありますが、ここでは一般的な時期を解説します。
指差しの前段階として生後7〜8ヶ月頃から、大人の指差しを理解することから始まります。パパやママが「あ、電車だね」と指差したとき、その指先や顔を見るようになるのです。
始めは指で触れている対象物を見ることから始まり、つぎに手に届く範囲内の対象、更に指先の方向を手掛りにして遠くの対象を見ることができるようになります。
指し示された「その先にある対象物」を目で追えるようになり、共同注視ができるようになるのは一般的に生後9ヶ月頃です。
そして生後8~9ヶ月頃から1歳過ぎにかけて、自発的な指差しが見られ始めます。
最初は人差し指だけを伸ばすのが難しく、手全体で「あっち!」と示す「手差し」をすることもよくあります。指差しでなく「手差し」になることは、手の筋肉の発達過程なので心配いりません。
(参考:指差し行動の発達的意義 秦野悦子 The Japanese Journal of Educational Psychology 1983)
赤ちゃんの指差しの種類と5つの発達段階

指差しはその目的によって段階的に進化していきます。
お子さんが今どの段階にいるかチェックしてみましょう。
(参考:指差し行動の発達的意義 秦野悦子 The Japanese Journal of Educational Psychology 1983)
①自発・興味の指差し(生後8〜11ヶ月頃)
第一段階として出てくるのは自発・興味の指差しです。
何かを見つけた時に反射的に指を差し、対象への純粋な興味を表します。
また、珍しいものを見つけたときの驚きや、以前見たものを再び見つけたときの喜びを表して指差しをするようになります。この段階では、大人の反応を特に期待しているわけではなく、自分の感情の表出として指差しをしている状態です。
②要求の指差し(生後10〜12ヶ月頃)
次の段階として、自分の欲求を伝える指差しが現れます。
「あのおもちゃが欲しい」「あそこに行きたい」など、自分の要求を指差しで伝えようとします。指を差しながら大人の顔を見たり、声を出したりすることも増えてくるでしょう。
この段階では、指差しが「他者に何かを伝える手段」として機能し始めています。
③叙述の指差し(生後11ヶ月〜1歳頃)
次に、生後11ヶ月頃から叙述の指差しと呼ばれる段階がみられます。
コミュニケーションツールとしての指差しがさらに発達し、要求だけでなく、自分が見つけたものや面白いと思ったものを「見て見て!」と他者と共有したい気持ちから指差しをします。指差しをしながら大人の顔を見て、反応を求めるような仕草が特徴的です。
この段階で「自分」「他者」「対象物」という三者の関係を理解できるようになります。
専門的には、これを「三項関係」と呼び、社会性やコミュニケーション能力の発達において重要な意味を持ちます。
④質問の指差し(1歳〜1歳2ヶ月頃)
1歳頃になると、質問の指差しがみられます。
知らないものや名前を知りたいものを指差して、大人に「これは何?」と質問するような行動です。指差しをした後、大人の反応や言葉を待つ様子が見られます。
語彙を増やす大切な時期であり、この質問の指差しに丁寧に答えることが言語発達を促してくれるでしょう。
この段階になると、指差しを通じたやり取り自体を楽しむようになります。大人が答えてくれることに喜びを感じ、繰り返し指差しをして質問することもあります。
次々と質問されて困ってしまうかもしれませんが、お子様の発達を促すためにできるだけ根気よく付き合ってあげてください。
⑤応答の指差し(1歳~1歳6ヶ月頃)
発達における最終段階には、応答の指差しがみられます。
大人から「わんわんはどれ?」「りんごはどこ?」と聞かれたときに、該当するものを指差して答えられるようになります。これは言葉の理解が進んでいる証拠でもあります。
1歳半健診では、この応答の指差しができるかどうかが発達の重要な指標としてチェックされます。応答の指差しができることは、言語理解とコミュニケーション能力の両方が育っていることを示しているのです。
指差しはいつから始まった?ママたちの体験談

先輩ママたちからは以下のような体験談が聞かれました。

指差しの始まる時期や進み方は本当に個人差が大きく、バラつきがあります。
お子さんのペースを見守ってあげましょう。
赤ちゃんが指差しをしない原因は?

1歳を過ぎても指差しが見られないと、ママやパパは心配になるかもしれません。
ここでは、指差しをしないさまざまな原因を説明します。
発達の個人差
これまでにもお伝えしたとおり、指差しの開始時期には大きな個人差があります。
運動発達が早い子もいれば言語発達が早い子もいるように、赤ちゃんの発達には得意不得意があります。
指差しが少し遅れていても、他の発達が順調であれば心配しなくても大丈夫です。
特に、目が合う、笑顔で応答する、人に興味を示すなど、他のコミュニケーション行動が見られていれば、指差しを自然とするようになるでしょう。
経験不足・環境要因
日常生活の中で大人とのやり取りが少ないと、経験不足から指差しを学ぶ機会も減ってしまいます。大人が指差しのお手本を見せたり、赤ちゃんの発信に応答したりする経験が、指差しの発達を促すのです。
また、常に同じ環境や見慣れたおもちゃだけで過ごしていると、興味を持って指差したくなるような対象が少なくなるでしょう。適度な刺激や新しい経験が、指差しの動機づけになることもあります。
発達障がいの可能性
指差しの発達がゆっくりな理由の一つとして、発達障がいの可能性も考えられます。発達障がいの一つであるASD(自閉スペクトラム症)の子は、周囲にあまり興味を示さない傾向があり、指差しがなかなかみられないことがあります。
特に、「叙述の指差し」といわれる他者と気持ちを共有する指差しがみられにくいといわれています。
ただし、指差しがないからといって必ずしも発達障がいがあるわけではありません。総合的な判断が必要なため自己判断しないようにしましょう。
その他の要因
ほかにも、 視力や聴力に問題があると、指差しの発達に影響することがあります。周囲のものがよく見えなければ興味を持ちにくく、大人の言葉が聞こえにくければ応答の指差しも難しくなります。
また、指差しは、人差し指だけを伸ばして他の指を曲げるという「手指の分離運動」が必要です。この分離運動がうまくできないと、きれいな指差しの形にならないことがあります。とはいえ、最初は手全体で指し示す「手差し」から始まるのが一般的なので、形にこだわりすぎる必要はありません。
こんな時は専門家に相談をしよう
以下のような場合は、かかりつけの小児科医や保健センターに相談することをおすすめします。
- ・視線が合いにくい
- ・他のコミュニケーション行動もみられない
- ・1歳半を過ぎても指差しが全くない
呼びかけに振り向かない、目と目を合わせてのやり取りが少ないなど、視線の合いにくさがある場合は、指差し以外の発達も含めて相談すると良いでしょう。
また、笑顔での応答が少ない、人に興味を示さない、名前を呼んでも反応しないなど、他のコミュニケーション行動も乏しい場合も早めの相談をおすすめします。
1歳半は指差しの発達における一つの目安です。この時期を過ぎても全く指差しが見られない場合は、一度専門家に相談すると安心です。
【作業療法士直伝】指差しを促す方法

指差しは自然に発達するものですが、日常のちょっとした工夫で、その発達を促すことができます。
ここでは、作業療法士の視点から、家庭で実践できる方法をご紹介します。
日常生活で指差しのお手本を見せる
赤ちゃんは大人の行動を見て学びます。日常生活の中で、意識的に指差しのお手本を見せましょう。
「わんわんがいるね」と言いながら犬を指差す、「りんごだよ」と言いながら果物を指差すなど、言葉と一緒に指差しの見本をしてあげてください。
外出先でも「お花がきれいだね」「車が通ったね」と指差しながら語りかけることで、指差しの意味を学ぶ機会が増えます。
赤ちゃんが興味を持っているものを指差すことが効果的です。大人が見せたいものではなく、赤ちゃんが興味のあるものを一緒に共有することで、指差しの楽しさを伝えられます。
指差しをするときは、子どもの目の高さに合わせてどこを差しているのかわかるように行うのがポイントです。まずは近くにあるものから始めていきましょう。
指差しに反応してあげる
指差しの発達を促すためには、赤ちゃんが指差しをしたときに、すぐ反応してあげることが大切です。
「本当だ!わんわんがいるね!」「すごい!よく見つけたね!」など、赤ちゃんが指差したものに対して共感を示しましょう。
大人が反応してくれることで、赤ちゃんは「指差しでコミュニケーションが取れる」ことを学び、もっとやりたくなります。
また、指差しに対して言葉を添えることで、言語発達も同時に促されます。「赤い車だね」「大きい飛行機だね」など、名前だけでなく色や大きさなども加えると語彙が豊かになります。
遊びや生活の中で自然に指差しを促す
無理に練習させるのではなく、遊びや日常生活の中で自然に指差しを促すことが大切です。
赤ちゃんが好きなものや興味を持っているものを使うと、自然と指差しをしたくなるでしょう。車が好きなら車のおもちゃや絵本、動物が好きなら動物図鑑など、お子さんの興味に合わせたものを用意しましょう。
「さわって!バイリンガルずかん」のようなおしゃべりする図鑑を用意するのもおすすめです。
絵本を読むときに「お花はどこかな?」と聞いてみたり、絵を指で差しながら読んであげるのも効果的です。
散歩や買い物などの外出時は、新しい刺激がたくさんあり、赤ちゃんも興味を持ちやすい環境です。「あ、猫ちゃんがいるよ」「お花がたくさん咲いてるね」と指差しながら語りかけることで、自然と指差しを学べるでしょう。
また、指差しがしやすいようにビーズを動かして遊ぶ「ルーピングスクィード」のような手先の器用さを促すようなおもちゃを利用するのもおすすめです。
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1歳半健診の指差しチェックについて

多くの自治体で実施される1歳半健診では、指差しの発達が重要なチェックポイントの一つになっています。
1歳半健診では応答の指差しをチェック
健診で確認されるのは、主に「応答の指差し」です。
複数の絵が描かれたカードや絵本を見せて、特定のものを指差しで答えられるかをチェックします。
「わんわん(犬)はどれかな?」「ぶーぶー(車)はどこ?」「くつはどれ?」など、日常的に目にするものについて質問されます。
指差しができないと言われたら
健診で指差しができないと言われたら、過度に心配せず様子を見ながら指差しを促す関わりを続けていきましょう。
健診という慣れない環境で、知らない人から質問されるという状況では、普段できることができなくなる子も多くいます。
また、1歳半という時期は発達の個人差がまだ大きく、これから急に発達する可能性も十分にあります。
健診で指摘されると、多くは「経過観察」となり、数ヶ月後に再度確認することになるでしょう。その間に家庭でできる働きかけを続けたり、必要に応じて発達相談や親子教室などを紹介してもらったりしましょう。
専門家のアドバイスを受けながら、焦らずにお子さんの発達を支えていくことが大切です。
まとめ

指差しは、赤ちゃんのコミュニケーション能力の発達を示す重要なサインです。
平均的には生後8〜11ヶ月頃から始まり、1歳半頃までに応答の指差しができるようになりますが、個人差が大きいことを理解しておきましょう。
指差しには5つの発達段階があり、それぞれ異なる意味や機能を持っています。段階を追って発達していくため、焦らず見守ることが大切です。
1歳半を過ぎても全く指差しが見られない場合や、他のコミュニケーション行動も少ない場合は、専門家に相談してください。
家庭では、日常生活の中で指差しのお手本を見せたり、赤ちゃんの指差しに反応したりすることで、自然に発達を促すことができます。絵本やおもちゃを使った遊び、外出先での語りかけなど、楽しみながら指差しを学ぶ機会を作りましょう。
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すみこ
作業療法士として13年間勤務、現在は医療・教育・育児関連記事を中心にWebライターとして活動中。3児の母(小学生2人&幼稚園児1人)。
作業療法士としての専門知識、母としての育児経験を活かして、具体的でわかりやすい文章を心がけています。
読んでくださる方が前向きな気持ちになれるようなお手伝いができれば幸いです。
主な運営サイト:sumiko-kurashi.com
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